連載(全6回予定)「仏の上司・鬼の上司 彼らが教えてくれたこと」では、12年間経営コンサルティングに従事し、8000人以上のビジネスパーソンの生の声を聞いてきた安達裕哉さんからお聞きした、上司から学んだ「働く」ということについてのヒントを紹介します。

第4回は、ビジネスパーソンにとっては悩ましい、仕事の時間のつかい方について。

いくら時間があっても足りない。どの仕事も中途半端なまま一日が終わってしまった――。そんなあなたは今日、どのように時間をつかいましたか?
(文責:日本実業出版社)

 仕事の量が多い=残業が多いとはいえない

先日、大手広告代理店で働いていた女性社員が、長時間残業などを理由に過労自殺したニュースが問題となりました。それをきっかけに、残業の是非や仕事のあり方などが様々な場で議論されています。

しかし、世間では必ずしも仕事量が多いからといって、それが即、残業時間の増加につながっているとはいえない場合もあります。

それは根本的なタスク管理の仕方が間違っているため、仕事の時間がいくらあっても足りなくなり、結果として、就業時間中に仕事を終わらせることができず、“ダラダラ”と残業をしてしまっているケースです。

私の知人がまさに、その典型的なタイプです。彼を見ていて気付いたことをお話したいと思います。

ただ手を動かすだけでは、完成しない仕事がある

そもそも仕事を大きく分類すると、

・データ入力や、月次報告の資料作成などの「定型的な仕事」
・企画立案、提案作成などの「創造的な仕事」

の2つにわかれます。

このうちアイデアやひらめきが重要となる「創造的な仕事」が、年々ビジネスパーソンに望まれる割合が増えてきています。しかし、その仕事は、単純に手を動かせばこなせるというものではなく、アイデアを思いつき、形にするまでの時間が読めないものがほとんどです。

10分で終わるかもしれませんし、ひらめかなければ1週間たっても終わらないかもしれない、リスクの高い仕事なのです。

したがって、1日の中で「定型的な仕事」をできるだけ圧縮し、リスクの高い「創造的な仕事」をする時間をどれだけ確保するかが、重要です。

また「創造的な仕事」は、細切れに時間をとっても成果に結びつきにくいものです。そのため、集中し、思考するための時間をできるだけ大きく切り分けなくてはなりません。