外資系ソフトウェア企業SAPジャパンに入社後、1年目で社長賞を受賞し、30歳で早くも部長に昇格。そして35歳で本部長に抜擢され、全社10万人のなか、グローバルで上位2%のハイパフォーマーに7年連続で選抜されるなど出世街道を走り、その後も大手日系企業の経営中枢で活躍し続ける金田博之氏。

実力があり成果も出しているのに、「処世術」を知らないために周囲との関係に悩み、本来の力を発揮できずに損をしているビジネスパーソンに向けて、新著『超一流の処世術 余計な敵をつくらずに圧倒的な成果を生み出す方法』を上梓しました。

ビジネスの世界では結果が一番モノを言うはずなのに、なぜ、「処世術」が必要なのでしょうか。金田氏の新著から見てみましょう。

まずは成果を出すこと。でも「お山の大将」化に注意!

ビジネスパーソンとして高いレベルを目指すのなら、まずは成果を出して認められなければなりません。若いときには、がむしゃらに、自分の数字をあげることが必要です。

成果を出し続けていれば、係長など現場のチームリーダーを任せられるでしょう。しかしその先に、出世するかしないかの分かれ目が待っています。ここからは成果の出し方が問われるのです。

この段階でもそれまでと同じように自分の数字だけを追いかけていると、「結果さえ出していれば何をしてもいい」という過剰な結果至上主義になり、傲慢な言動が出てくることがあります。周囲には自己中心的な「お山の大将」に見えるでしょう。改善されなければ、周囲との人間関係がうまく築けなくなり、一定のライン以上の結果を出せなくなってしまいます。その結果、「お山の大将」ですらいられなくなり、「やっかいもの」になります。

一方で、現場のリーダーとして、チームや他部署の仲間のことを優先して考え、彼らと共有する目的をリーダーシップを発揮して達成していくことができれば、部長以上の昇進を目指す「トップタレント」として抜け出すことになります。簡単なマトリクスを示しましょう。

処世術①
出世は二段ロケットだ(23ページより

 縦軸に「視点」とあることに注目です。新人[D]が成果を出し続ければ[B]へ移ることができます(①→)が、どれだけ高い成果をあげる人でも、視点が自分中心では「お山の大将」止まり。それを他人中心、あるいはもっと大きな「目的」に変えることができれば、次のステージ[A]へジャンプできるというわけです(②→)。

このように「自分中心」から、「他者×自分」へと視点を切り替えることこそが、金田氏のいう「処世術」なのです。 

ネガティブな心理だって、視点を変えれば転換できる!

「視点の切り替え」について、ひとつヒントを紹介しましょう。

金田氏は「成果を出す人が傲慢になる3つの心理」として、「承認欲求」「自尊心」「劣等感」をあげています。この心理メカニズムがグルグルまわっていると、「お山の大将」化の危険があるというのです。たしかに、これらの心理が言動にあらわれてしまうと周囲の反感を買うというのは容易に想像がつきます。