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金融政策、金融規制・監督の全体像(『入門 金融のしくみ』p.161より、一部加筆)

従来、「物価の安定」とは「インフレをいかに抑制するか」ということとほぼ同義でした。しかし、現在は各国ともデフレの克服に頭を悩ませるようになり、具体的な物価上昇率目標を掲げるようになっています。日本の場合、日銀は2013年1月に「物価安定の目標」として消費者物価の前年比上昇率(いわゆる「インフレ率」)を2%と定めています。

今回のマイナス金利も、その消費者物価指数の上昇率2%を達成するための政策のひとつです。当座預金金利をマイナスにするということは、銀行が日銀にお金を預けっぱなしにしていると目減りしてきます。

これはすなわち「保有する資金をいたずらに減らしたくなければ、市場にお金を流し経済を活性化させよ」というメッセージが込められたものと考えられます。ただし、そのお金の流し方まで指定されているわけではありません。「企業への融資を増やす」「投資に回す」などいくつかの方法が考えられます。

報道でも取り沙汰されているように、マイナス金利はヨーロッパの一部の国で導入された経緯があるものの、日本では初の導入となります。加えて、今回のマイナス金利導入に対するエコノミスト・アナリストや金融系メディア、個人も含めた市場関係者の反応もさまざまです。

一部銀行では「定期預金の利率を普通預金と同率まで引き下げる」など個人の預金に影響を転嫁させ、日銀の意図したものとは異なる動きを見せるところもありますが、総体としては、今後の経済にどのような影響が出てくるのかはいまだ漠然としています。

ただ、日銀の金融政策は国民生活に広く影響を及ぼすものですので、その行く末を注視する必要があると言えそうです。