年間2000万人規模とも言われている外国人観光客(インバウンド)市場。ラオックス(証券コード:8202)やABCマート(2670)といった関連銘柄の高騰や、銀座・秋葉原をはじめとする繁華街にあふれる外国人、そして「爆買い」など、その好調ぶりを象徴する事例は多々あります。

一方で中国経済の減速や原油安、米利上げに伴う為替変動で外国人観光客の減少が懸念されるなど、市場の先行き不安につながる材料も散見されますが、現状、国内の観光・小売関係者にとって有望な収益源となりうることに変わりはありません。

そうした状況において、外国人観光客をどう利益につなげていくか。インバウンドコンサルタント・小野秀一郎氏の著書『ネット活用でここまで変わる! 外国人観光客を呼び込む方法』をベースにみてみましょう。

“後に来るべきもの”が先に来ている現状

2013年、滝川クリステルさんが行なった東京招致委最終プレゼンで一躍話題となった「お・も・て・な・し」。これを受けてか、国内の観光・小売関係者の間では「訪れる外国人観光客をいかに接客し、もてなしていくか」を優先課題とするきらいがあります。観光客の増加を当て込んで真っ先に多言語表示に対応したり、無料公衆無線LAN環境の整備に取り掛かった事業者も多いことでしょう。

しかし、それでは順序が違います。食事のメニューが多言語対応し、従業員の語学能力がいくらあがったところで、観光客がお店に来なければ売上はいつまでたってもゼロのままです。まずは集客に全力をそそがなければなりません。

それをふまえて、外国人観光客にはどういった種類の人たちがいて、どういう手段で日本旅行を手配しているのか見てみましょう。まずは、外国人観光客の分類です。

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『ネット活用でここまで変わる! 外国人観光客を呼び込む方法』p.17より、一部編集

これら3パターンに分けられる外国人観光客それぞれの特徴について、小野氏は次のように分類しています。