本は読まなければいけないもの?

日実:弊社から出ている『本を読む人だけが手にするもの(以下、『本を読む人』)』(藤原和博:著)を、みなさん読んでいただいているそうで、ありがとうございます! おかげさまで売れ行きも好調です。内容は「なぜ、本を読むと良いのか?」という疑問に対して、著者が様々な視点から、読書の効能・読書術について記しています。

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そういえば、なんで本を読むんだろう。
あらためて、考えてみました。

ところで根本的な質問ですが、みなさんは、なぜ本を読んでいるのですか?

川西:うーん……、僕は単純に、知らないことを知ることが楽しいから。自分が簡単に経験できないことを、追体験するために本を読みます。

『本を読む人』に書いてあったことでいえば、僕が本を読む理由は、ロールプレイができるから。自分がもっていない視点から、自分が経験しないような体験をして、どう感じるのか。ビジネス書が好きな人は、小説って役にたたないじゃんと、言う人が多いのですが、そう言う人にこそ小説やノンフィクションを読んでもらって、その視点から何が見えるのかということを楽しんでもらいたいですね。

菅原:僕も同じです。後は、結局は、人とつながるためのツールなのかなと思ったりします。たとえば、今回『本を読む人』を読んで、みなさんも同じ本を読んでいたことで、この場で同じ共通の話題を話し合うことができました。
これは、1つのメリットだなと思います。
今までそれぞれが生きてきた世界を飛び越えて、本によって人と人がつながれるのは本を読む意味の一つだなと僕は思っています。

鎌田:そうですよね、私も自分の見たことのない世界を見たいという、冒険心のようなものがあって、作者の脳の中を知るというか……。本を読むということは、新しい刺激を求めていてというのが、大きいですね。

 本を読む時って、脳を使っている気がしませんか? 運動のような感覚です。
本はちゃんと読んでいかないとストーリーがわからないので……、情報をキャッチするのと同時に、たえず脳の運動をしている気がします。

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本は私を助けてくれる。と語る川西さん。

川西:そうですね。あと“役立つ”ということに完全にフォーカスしちゃうと、自分の意見に説得力を出すために読んでいることがあります。 
僕はまだ20代前半なので、なんのバックグラウンドもなく意見を言うと「若造がなにをいってるんだ」と言われるちゃうことがあるんです。けれど、「この本ではこのように言っている」と伝えると「あ、そうなんだ」と納得してもらえることが多い。自分の意見に重みをだすことができるんです。

鎌田:わかります! クリスマスツリーにオーナメントを飾るように、本の中の知識で自分に付加価値をつけていっているというのが、私の中でのイメージです。

本に書いてあることを、疑うことが大事

日実:『本を読む人だけが手にするもの』を読んでの、率直な感想を教えてください。

菅原:そうですね……、そうだなと納得したのは、一定量(300冊)を読んでから、自分自身に変化がおきてくるという部分です。
僕が元々読み始めたのは、ビジネス書や実用書からなのですが、『人を動かす』という本を読んでも人を動かせないし、『心を読める』という本を読んでも読めないし、なんだよって思っていたんですけど(笑)。

でも、10冊、100冊、200冊と読書量を積んでいくと、量が質に転化して、少しずつこの本の内容のここは自分に合っていて、これは違うというのがわかるようになるんです。
そして実際に実務にも落とし込めるようになったという、自分の実体験を思い出しました。1冊目から、本を読むことによって自分が変わるわけではない、というところはとても共感できました。

あと、一流の人、成果を出している人は本を読んでいるということが書いてあって、それはほぼ間違いないなと思います。しかし、逆に「本を読んでいる人=仕事ができる人」とは成り立たなかったりしますよね。

川西:僕は『本を読む人』の本文に載っていた、クリティカル・シンキングを本を読む際に意識していて、本を読みながら内容について疑問をもって、ツッコミをいれる。頭からビジネス書や自己啓発書に頼るっていうのは、ある意味究極の受動だったりするんですよね。

ビジネス書に書いてあることを鵜呑みにせず、「こう書いてあるけど、本当に?」とツッコミをいれる。様々な情報を多面的に考える。そのことは常に忘れないようにしないといけないですよね。

菅原:「長生きのためには肉を食べなさい」と書いてある本と、「長生きのためには肉を食べちゃだめ」という本が、並んで置いてあったりしますからね(笑)。

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マーケティング的視点から、読書について語る、鎌田さん。

鎌田:(笑)。
私は大学院での勉強の関係もあって、マーケティング思考でみてしまうのですが、「21世紀は個の時代である」というフレーズが印象的でした。
実際、ノマドワーカーや会社から離れて働くスタイルが流行って、またLINEのように、コミュニケーションも個の時代にシフトしていると感じています。いかに、この世界の中で、個をデザインしていくのかと書かれていて、たしかに大切だなと感じました。 

本の中に知識があって、自分の人生をデザインするためには、その知識を使って戦略を組む必要がある。私はそれを読んで、「読書=自己ブランディング」だなと定義づけました。本の中のあらゆる知識、カケラをもとに、自分の真っ白なキャンパスを、どのように彩らせるのか、この個の世界で自分を自分らしく生きていくためのマーケティング戦略と一緒だなと思いました。