「国道」は何号まであるかご存じだろうか。答えは507号で、この国道は沖縄県糸満市と那覇市を結んでいる。じゃあ国道は507本あるんだ、と考えるのは道理。でもじつは、国道は459本しかないのだ。欠番が48もあるのはなぜだろう?

身近にありすぎて普段は意識もしない「道路」。日本の道路は、人や車だけでなく、歴史や文化を運んできた。あまり知られていない、道路の魅力のほんの一部を、『日本の道路がわかる事典』(浅井建爾著)から紹介しよう。


 国道に48も欠番がある理由

日本に初めて国道が登場したのは1876(明治9)年だが、現在のかたちに近くなったのは戦後、1952(昭和27)年の「道路法」の全面改正があってから。これによりそれまでの国道路線がいったん全廃され、新たに国道、都道府県道、市町村道の3種類に分けられ、さらに国道は一級国道と二級国道にランク付けされた。

「幹線道路の枢要部分を構成する道路」として一級国道に指定されたのは1号から40号。二級国道は、「一級国道を補完する道路」として道路法改正の翌53年に144路線が指定されたのだが、路線番号には3桁の数字が使用された。つまり当時、二級国道として、国道101号から244号ができたことになる。

読者もお気づきのように、現在の国道には一級、二級の区別はない。これは1965(昭和40)年の道路法改正で、「一般国道」に統合されたからである。当時一級国道は、58号まで指定が追加されていた(58号は鹿児島市と那覇市を結び、日本で最も長い海上国道として有名)。

この改正が欠番の直接的な原因になった。このあと、新たに追加される路線は3桁の最後の路線番号に続いて付けられることなったのである。つまり、59号から100号までの42の番号がこの時点で欠番となったのだった(そのほかの6路線は統合や消滅によるもの)。

このとき、路線番号を変更、再編成していれば欠番は出なかった。しかし、すでに路線番号は、地域の社会と生活になじみ深いものになっていた。混乱を避けるためにも、また変更にかかる費用も考慮して、路線番号はそのまま引き継がれることになったのである。
(本書第2章より)

こんな道でも国道なのだ!

国道といえば、交通量も多く整備された道路が一般的だ。しかし、中には変わった国道もある。

国道339号「階段国道」
国道339号「階段国道」

写真の階段は、津軽半島最北端の竜飛岬の近くにある。地域の歴史を感じさせる、風情ある階段だが、ご覧のとおり傍らに「国道339」の標識がある。車が通行できるわけもなく、それでも国道か、と思わず突っ込みたくなるが、これも立派な国道の一部。知る人ぞ知る「階段国道」なのだ。

一般国道の定義は道路法で定められていて、詳細は省くが、要するに重要な都市や空港、高速道路などを結ぶ道路が国道に指定される。区間には地形が険しく、幅のない部分もある。俗に「点線道路」と呼ばれる、国土地理院の地形図では点線で表示される部分だ。

写真の「階段国道」も点線道路だ。339号が国道に昇格するときに整備する案もあったが、地域の名物として保存することにした。その思惑はあたり、マスコミにも紹介され、多くの観光客を集める名所となっている。
(本書第1章より)

いろんな国道がある一方で、ビックリするような「私道」もある。