たとえば、あなたが市街地から離れた郊外に土地を持っているとする。郊外とはいっても、周りに賃貸需要はそれなりにある地域だ。ただ、市街地にくらべれば家賃単価も低く、稼働率もあまりよいとはいえない土地。

パッと思いつく相続対策は、この土地にアパ・マンを建てることしかない。いくつか読んだ相続対策の本にもアパ・マンがいいと書いてあったし、周りの地主も相続対策でアパ・マン経営を始めている。

建築会社の営業マンは、流行のオール電化や太陽光発電をミックスした賃貸経営で差別化を提案。次第にあなたは「これなら競争に勝てるかもしれない」と思い始める。さらに、差別化を図るために、ペット可、インターネット使い放題など、あらゆる最新設備を追加。見積り額はどんどん膨らんでいく……。

(p.35-36より)

「住みたい街ランキング」常連のように黙ってても入居希望者が殺到する街ならともかく、単価・稼働率に難がある土地柄に、普通にアパート・マンションを建てただけで経営が成り立つほど、世の中甘くありません。そのため、引用中にも書かれているような最新設備を追加したりして、何とか入居者を呼び込もうとしている……そういった大家さんは日本全国にたくさんいます。

実際、コンサルタントや銀行などへ相続の相談をしにいったら「アパ・マン経営こそが最高の相続対策」と言われ、その気になっている方もいるのではないでしょうか。

ですが、浦田氏は「こういう経緯で建てられたアパ・マンの表面利回りはせいぜい7%。対策としてはありえない」と言い切ったうえで、次のように解説しています。

かりに5000万円のアパートを建てたときの表面利回りが7%なら、家賃収入は350万円になる。そこからローンや管理費などを支払うと、手取りはよくて1%程度の50万円。月にするとたったの4万円ちょっとだ。

しかも、これは満室時の金額なので、1戸でも空室になれば手取りはゼロだろう。いくらなんでも5000万円の借金を背負って、手取り4万円では心もとない。相続対策とはいえ、これでは苦労するのは目に見えている。

当然だが、相続対策といっても、借りたお金は返さなければならない。したがって、もともと持っている土地にアパートを建てるなら、その表面利回りは最低でも10%以上、できれば12%は狙っていかなければならない。しかし、それでも手元に残るキャッシュフロー(実質利回り)は3~5%程度なのだ(全額ローンの場合)。

(p.37より)

そもそも、土地の有効活用とは「建てる」だけとは限りません。浦田氏は「土地を売却する、もしくはお金を借りるための担保とすることで、都心の中古アパートに買い替えたりする選択もある」として、絶対に「建てる」ことだけに固執してはいけないと語っています

 その2:安易なタワーマンション(タワマン)購入が招く身の破滅

もうひとつ、不動産を用いた相続対策の手法として最近とくに人気なのが「タワーマンション(タワマン)購入」です。しかし、この方法も一歩間違えると破滅のもとになります。