投資に必要な金融リテラシーが1冊で身につく

第1部は、経済の流れについての解説です。たとえば新聞などでは「金利が上昇すると債券の価格は下落する」と簡単に述べられていますが、その理屈について、知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。本書では、このような経済全体の流れについて、詳しく説明しています。また、最近話題になっているアベノミクスの量的緩和政策については、サブプライムローンと深い関係があります。インカムゲイン投資を行なう人が、このような経済情勢において取るべき行動はどのようなものなのかという、心構えについても解説しました。

第2部は、インカムゲイン投資の代表格である債券についてです。債券というのは、日本ではなじみの薄い投資商品ですし、タイトルに「債券」と付いている書籍で売れているものほとんどありません。しかし、債券というのは投資商品としては非常に魅力的なものです。持っているだけで自動的にお金が入ってきますし、リスクも株やFXよりも低いといえます。この仕組みを詳しく知ることで、年間5%でも10%でも、債券によってお金を運用しよう、というのが第2部の趣旨です。

第3部は、為替についての解説。この中でも、FX業者と個人投資家の関係についての話は特に面白いと思います。実は、個人投資家が「FXで何億円勝った」というケースでは、業者がその分損をしていることが多々あります。その理屈や、FX業者のウラをついて、短期間に大金を稼ぐ人の話についても書かれています。

第4部は、REITについて。REITの仕組みからはじめて、分配金利回りだけではないREITの評価方法などについて説明しています。また、海外に目を向けてみると、日本のREITよりも面白い商品がたくさんあります。具体的にどのような商品があるのかを詳しく書いています。

全体を通しては、債券と海外REITについての解説が中心ですが、証券市場全体の入門書として読んでいただけると、ひとおりの長期投資の基礎知識が身につくと思います。投資全般についてのまったくの初心者というよりは、「この本を読んで中級者上級者レベルになりたい」と考えている人をメインの読者対象として想定しています。

とはいえ、決して難しい本ではありません。興味がある人は安心して手に取ってください。


たまがわ・ようすけ
1978年神奈川県生まれ。学習院大学卒業。コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役。大学在学中に統計データ処理受託の会社を設立。同社を毎年増収増益で成長させ、2006年に売却。その資金で本格的に投資を始める。その後、国内外で不動産投資と証券投資を幅広く行う。自らの投資収益を主たる収入源としながら、『週刊ダイヤモンド』など経済誌への記事執筆も行っている。
『不動産投資1年目の教科書』(東洋経済新報社)をはじめ、『勝者1%の超富裕層に学ぶ「海外投資」7つの方法』(ぱる出版)など、すべての著書が増刷を重ねるなど、その視点、分析に定評がある個人投資家。