英語がなかなか身につかないのは、あなたの努力が足りないからではありません。まじめに考える人ほど理解に苦しむ、英米人すら気づいていない矛盾がある英文法によって英語を教えられてきたからです。


 5文型英語は矛盾だらけ

「本来、英語はとってもシンプルな言葉です。あなたがその気になれば、簡単に使えるようになります」と、『世界に1つだけの英語教科書』の著者であり、長年にわたり私塾で英語を教えてきた西巻尚樹氏はいいます。

まったく新しい英文法の教科書
『世界に1つだけの英語教科書』(西巻尚樹著)

私たちを悩ませている矛盾とはなんなのでしょうか。西巻氏によれば、それは、英米から輸入され、私たちも(理解しているかどうかは別として)よく知るところの「5文型英語(SVOC)」の理論にあるそうです。SVOC、つまり「主語+動詞+目的語+修飾語」を注意深く見ると、あることに気づきます。「主語」「目的語」「修飾語」の部分は「言葉の働き」を意味していますが、なぜか「動詞」の箇所だけが、「品詞名」を使っていますね。

この、主語のすぐ後ろの言葉を「動詞」と説明したことに矛盾があり、これが理解を複雑にしてしまった原因だ、と西巻氏はいいます。この部分にも「言葉の働き」を表わす表現を使わなければおかしい、そうすることによって英語はとても簡単になる、とも。

それでは、その「言葉の働き」とは?

英語の文型は1つしかない?

I want to get a rest at a hot-spring resort.

上の例文を従来の英文法で説明すると、“want”が動詞、“to get”は目的語ということになります。
しかし、著者の主張は違います。

主語の後ろの言葉は「話し手の気持ちや判断」を表わす「働き」をしています。ですから、「判断語:Verdict」と呼びましょう。
(27ページより)

上の例文を、言葉の並び順に訳してみます。

私が、欲しがっているのは、とること、休暇を、温泉で、です。


この場合、主語「私が」の後ろにあるのは「欲しがっているのは、とること(want to get)」という言葉のまとまりで、「……をとりたい」という気持ちを表しています。この部分を「判断語:Verdict」と考えると、英語の理解が非常にスムーズなるそうです。

こうした考えから著者が導き出したのが、

 {S-V-O}-P

Subject(主語) Verdict(判断語) Object(対象語) Predicate(叙述語)

という、たった一つの英語の基本形です。英語はここに、それぞれの働きをする言葉をあてはめるだけのとてもシンプルな構造の言語である、と。また、「判断語」に入る言葉は動詞とは限らず、あらゆる品詞が使われるという点も著者は強調します。

まったく新しい英文法

こうした考え方を手始めに、西巻氏は本書で、自身が提唱する、従来の5文型とはまったく違う英文法である「VSOPメソッド」を、あますところなく解説しています。

本書には「A is B は A=B ではない」「This is a pen.は屈辱的な意味!」「進行形も動名詞も区別するな!」「動詞はオマケだ!」など、常識的な英文法理解を覆すフレーズが数多く出てきます。

仕事で英語を使いこなしたい、英語で伝わるコミュニケーションをしたい、受験英語は嫌いだったけどやっぱり英語を話せるようになりたい、何度もトライしたけど挫折してばかり……と嘆くあなたの英語に対する苦手意識やモヤモヤを、スッキリと晴らしてくれるかもしれません。