人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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カーリングの町・常呂(ところ)

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2006/02/27 10:58

 半月にわたって熱戦が繰り広げられたトリノ五輪は26日夜(日本時間27日朝)に閉会式を迎えた。大会前にマスコミや関係者の打ち上げた、「金こそ少ないものの、メダルは大量獲得」という希望はものの見事に破られた。“メダル候補”だった選手が入賞すら果たせず、競技によっては軒並み予選落ち。最後になって、フィギュアスケートで予想外の金メダルを獲得したものの、結局メダルはこれ1つのみ。前回の2個をも下まわる無残な結果に終わっている。
 そうした中で、7位に終わりながらも、大健闘として話題になったのが女子のカーリングである。マイナー競技とはいえ、カーリングという競技自体は、ほとんどの人が知っている。多くの人が、バイアスロンとは何をする競技かすら知らないのとは大きな違いだ。
 しかし、大多数の人のカーリングの認識は、「氷の上で一人が球を投げ、別の人がブラシで磨いているという、摩訶不思議なスポーツ」といった程度で、野球のようなスコアボードがあることも、今回始めて知った人が多いのではないだろうか。
 もし他の競技が順調にメダルを獲得していれば、カーリングが注目されることは少なかっただろう。しかし、スキーやスケート、スノーボードが不振に喘ぐ中、誰も注目していなかったカーリング選手が、世界No.1のスウェーデンと延長戦にまでもつれ込む大健闘をみせたあたりから、本橋(マリリン)人気ともあいまって一躍脚光を浴びはじめた。
 今回の五輪メンバーは、日本一となった「チーム青森」の選手達。しかし、「青森」とはいうものの、選手は全員北海道の出身。しかも、中心選手である、小野寺・林・本橋の3人は常呂町の出身である。以前、ジャンプの町・下川を紹介したが、実は常呂町は“カーリングの町”なのだ。
 常呂町は北海道の東北部、オホーツク海に面した人口5,000人弱の町。常呂とはアイヌ語の「トー・コロ」の当て字で、「湖水のある町」という意味だという。町内には、「土佐」「岐阜」という地名がある。これは、明治時代に高知県と岐阜県からの開拓団が入植した場所で、その出身地がそのまま地名となったという、いかにも北海道らしいもの。常呂町では、高知県佐川町と岐阜県大野町と姉妹都市の縁組みを結び、友好を深めている。
 また、常呂町には町営のカーリングホールがあり、町民は日頃からカーリングに親しんでいる。前回の五輪にも出場した小野寺と林は、後輩の本橋をスカウトして青森に移り住み、オリンピックを目指していた。
 さて、突如有名になった常呂町だが、実は3月5日、留辺蕊(るべしべ)町・端野(たんの)町とともに、北見市に合併して消滅することが決まっている。4年後は「カーリングの町・北見」になっているかどうか。
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