人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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功名が辻と山内一豊

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2006/01/10 09:11

 8日からNHKの大河ドラマ「功名が辻」が始まった。主人公は山内一豊(上川隆也)と、その妻千代(仲間由紀恵)。山内一豊は幼くして父と死に別れ、以後槍一本で土佐藩24万石という大大名に成り上がった立志伝中の人物のはずだが、どうも影が薄い。むしろ、鏡の裏からへそくりを出して夫のために馬を買った妻・千代の方が有名だ。高知城でも、大手門から石段を上がっていくと千代と馬の銅像があるが、一豊の銅像があるのは、なんと門外!である。
さて、「山内一豊の妻」をどう読むだろうか?
 一般に(特に年配の方)は、「やまのうちかずとよのつま」と読む人が多いと思う。へそくりの話は今の四十代以上なら誰でも知っている有名な逸話で、その中では「やまのうち」といわれていたからだ。
 山内という名字は、「山の中」という意味の地形姓のため各地にあるが、鎌倉市内にある「山内」という地名をルーツとする一族もある。この地名は「やまのうち」と読むことから、鎌倉の山内一族は地名と同じく「やまのうち」と読んだ。一豊もこの末裔と伝えていることから一般的には「やまのうち」とされ、幕末に活躍した山内容堂も「やまのうち・ようどう」といわれることが多い。しかし、山内家では家の読み方を「やまうち」としており、今回の大河ドラマでも「やまうち」を採用していた。
 なお、山内家によると、名前の「一豊」についても、「かずとよ」ではなく「かつとよ」と濁らないのが正しいという。
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