人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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トリノをめぐる争い

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2005/12/19 10:51

 17日、代々木競技場で行われたフィギュアスケートのGPファイナルで、浅田真央が世界王者のスルツカヤ(ロシア)を抑えて優勝した。GPファイナルでの優勝は村主章枝以来2人目で、15歳になったばかりでの優勝は快挙だが、年齢制限にわずか87日足りない、ということで来年のトリノ五輪には出場できない。
 トリノ五輪の代表は、実力人気ともにNo.1で世界ランキング2位の安藤美姫、同3位で昨年の世界王者荒川静香、ソルトレークシティ五輪にも出場した村主章枝と恩田美栄、さらに今年急成長の中野友加里と、5人で熾烈な争いを繰り広げることになる。アテネ五輪の女子マラソン、或いはかつての男子マラソンなど、日本ではどうも世界トップクラスの選手が同時期に集中することが多い。
 面白いのは浅田・安藤・恩田・中野の4人はともに愛知県の出身。かつての伊藤みどりも愛知出身で、女子フィギュアスケートの本場は愛知県らしいのだ。
 さて、名字的には、「村主」というものが気になる。これで、「すぐり」と読むかなりの難読姓。どうがんばっても、この字面からは「すぐり」という読みは連想できないが、古代史に詳しい人だと、割にあっさりと読んでしまう。というのも、古代においてムラ(今の一集落くらい)の長のことを「すぐり」といい、「村主」という漢字をあてていたからだ。「すぐり」という言葉のルーツは古代朝鮮語にある。
 「村主」はやがて正式の“姓(かばね)”として、渡来人系の中小豪族に対して与えられた。村主姓の一族は、大陸の進んだ技術を伝えた技術者集団だったとみられている。
 村主選手は、父親が国際線のパイロットで、本人はアラスカ育ち、という国際派だが、祖父までは代々続く麹職人だったという。ひょっとすると日本に酒造りを伝えた一族の末裔かもしれない。
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