人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「安室」の読み方

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2017/09/25 10:21

(安室奈美恵オフィシャルサイト―Discographyよりキャプチャ)

歌手・安室奈美恵が来年の9月で引退すると発表し、話題になっている。ところで、この「安室」という名字、大多数の人は当然のように「あむろ」と読んでいるが、実は「あむろ」が多数というわけではない。

「安室」は、関東南部・兵庫県・沖縄県などに分布している。最も多いのが神奈川県の横浜市から相模原市にかけての地域で、ここではほぼ「やすむろ」である。次いで多い東京23区でも大多数が「やすむろ」。「室」とは古代の家や、山腹などに造られた何かを保存する場所のことを指す言葉だ。

3番目に多いのが沖縄県で、沖縄ではほぼ「あむろ」と読む。これは、ルーツとなった西原間切安室村(西原町)という地名が「あむろ」と読むからだ。現在も那覇市周辺に多い。

4番目に多い兵庫県の姫路市付近でも読み方は「やすむろ」。姫路市には播磨国飾磨郡安室(やすむろ)郷という古い地名があり、ここをルーツとしているため。つまり、「安室」を「あむろ」と読むのは沖縄限定の独特の読み方で、全国の「安室」さんの大多数は「やすむろ」である。

しかし、一人の有名人が出ると、本来難読の読み方が普通の読み方に変わってしまう。それだけ安室奈美恵がスターである、ということの証でもある。

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