カンタン!世直し宴会術

夜ごと、さまざまな場所で行なわれている「宴会」。

しかし、中には「まったく盛り上がらない」「参加者が全員メンドクサイと思っている」「幹事が何をすればいいかわかっていない」という宴会も多いとか。そんな宴会をボクメツするため、「宴会を通じて世の中の役に立つ」との使命に(勝手に)燃える1人のオトコが立ち上がった!?

「お酒を飲んでただ騒ぐだけ」の宴会は今日でおしまい。ビジネスにも役に立つ宴会のいろはをご紹介します。

著者プロフィール

川田直樹(かわた・なおき)

昼は一級建築士、夜は一級宴築士&人間関係構築士、座右の銘は「ノー宴会 ノーライフ」。32歳独身イベント大好きサラリーマン。大阪出身、転勤で東京勤務中。大手オフィスメーカーの建築部門に勤め、中間管理職として若手を育成指導中。

年間60回以上の宴会を経験する中で、「社内で席が隣なのにメールを送り合うような疎遠な関係でも、たった2時間の宴会翌日には、笑顔でハイタッチをする仲間になった」「1000回の名刺交換よりも1回の宴会で人生が変わった」などを目の当たりにし、宴会のもつ可能性と多様性に惹かれ、イベントや宴会を通じて人と人をつなぎ仕事を楽しむ活動を推進中。「認定ファシリティマネジャー」「イベント業務管理士2級」取得。健康増進、社内活性、長時間労働対策としても効果的な「サウナ部長」としても活躍している。

今では一級宴築士の腕が口コミで広がり結婚式二次会の司会幹事も定期的に務める。本連載では、宴会での数々の修羅場をくぐり抜けて培った、「宴会と仕事を楽しむ」ノウハウをすべて公開していく。

一夜で最強のチームに変えた、「最高の宴会」とは?【最終回】

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2017/07/28 16:12

準備は全員参加で宴会の「型」を決めていく

それからというもの、C君は持ち前の愛嬌と行動力で、テキパキかつユニークな方法で幹事として段取りを進めはじめました。

まずは、毎週実施のグループ会議の場で「宴会当日まで、会議の最後に5分だけ時間をください!」と提案し、毎回幹事MTGに参加者全員を巻き込んでいきました。そして驚くことに毎回、宴会の議題を提示してくるのです。

「今日は宴会のテーマを決めましょう!」
「今回はメインの目玉料理を決めましょう!」
「ゲームをしたいのですがどれがいいですか?」

ここでのポイントは、幹事がアイデアを複数出し、メンバーにその中から「選んでもらうこと」です。これにより、単純に参加するだけの「受け身型」ではなく、アイデアを比較・検討し選んでいくという「参加型」の宴会になっていきます。

また、全員そろった場で決めているため、意見を出し合う中で「あの人、日頃クールだけど意外と大衆的な居酒屋とか行くんだな」とお互いの好みや共通性が見えてきます。これは意外と幹事としてはメリットが多いのです。

好みの違いを互いに把握できるため、当日に場所や料理、出し物などでクレームが出ることはありません。そして何より、自分が意見を言っている「参加型」なので出席率が高くなり、当日キャンセルのリスクも減る、などなど良いことづくしのテクニックなのです。

今回のグループ会議で、ほとんどのメンバーが「野球好き」ということがわかりました。さて、この情報を得たC君は宴会当日、どんな行動に出たのでしょうか?

メンバーの個性を引き出すには「ヒーローインタビュー」!

宴会当日、C君は交流ゲームとして「ヒーローインタビュークイズ」を実施したのです。

これは、事前のグループ会議でメンバーが野球好きということを把握し、C君が「取り入れやすそうだ」と考えたゲームでした。司会であるC君がインタビュアーになりきり、主役に対して、まるでMVPのプロ野球選手のように質問を重ねていきます。この2人以外は観客として、プロ野球選手のファンになり、コメントを聞いていくのです。

「いやー中田選手、素晴らしい活躍ですね」「ありがとうございます!」

「得意なスタイルは何ですか?」「そうですね、私の持ち味はITスタイルを駆使した顧客サービスですかね」

「と、いいますと?」「つまり、×××です」

という風に。また、「あなたのパフォーマンスの原動力は何ですか?」「休日の過ごし方は?」「好きな芸能人は?」などなど、インタビューが続きました。観客である他のメンバーからの飛び入り質問や、観客に答えてもらうクイズも取り入れ、予想以上の大盛り上がりとなりました。

この「ヒーローインタビュークイズ」により、仕事、そしてプライベートが色々と見えてきます。さらにヒーローインタビューの形で宴会の参加者たちを「主役」と「ファン」の関係にすることで、互いに称え合う姿勢となるので、宴会の雰囲気はとても良好になったのです。

さらに小道具として、野球帽やバットなど「そんなものまで用意されているんだ!」とメンバーが驚くサプライズをC君は準備していました。このサプライズで宴会の興奮はいっそう高まり、いよいよクライマックスへ突入します。

チームの目標を記した横断幕と共に記念撮影で、フィニッシュ!

宴会の最後には、全員で記念撮影です。その際、C君は「開発営業部 年間売上200%目標達成結束会」と記した横断幕を準備しました。集合写真でチームの目標を掲げることで、宴会に「単なる飲み会」以上の意味をもたせたのです。

このように、幹事のC君は皆のことを第一に考えて幹事をやり切りました。その結果、宴会は言うまでもなく大成功。一匹オオカミばかりのチームメンバーも、食事が進み会話が増えるなかでお互いを知ることができ、あらためて目標への意思統一をすることができました。

「C君、今日はとてもワクワクして楽しい宴会だったよ、どうもありがとう!」

帰り際に皆から声をかけられ、C君は達成感いっぱいで家路につきました。

宴会の一夜から、売上200%アップを達成する最強のチームに変貌!

 翌日から、このチームの風景は様変わりしました。

まず、出社するやいなや「おはよう」「昨日おもしろかったね」「あ、◎◎さん、あのプロジェクトだけどこんなアイデアはどうかな?」「もし大変だったら顧客同行に一緒にいこうか?」などなど、明るい会話が途切れることなく、自発的に生まれていました。

そして、今まで知らなかった互いの個性や考え方を知ることで、目標達成に向けてやるべきことが見え、互いに助け合う姿勢や風土が生まれたのです。

これまで、いつもあと一歩で目標未達だったこのチーム。1年後に目標を達成するどころか、売上200%を記録する「最強のチーム」へと変わっていました。さらに、今後は「開発営業部 プロ野球交流会」として、定期的に宴会を開催していくことになったということです。

そして、皆のデスクの上には、リーダーが野球帽をかぶった全員笑顔の集合写真が飾られています……。

***

いかがでしたか?

C君の企画した宴会は「同じ企業」「同じチーム」「同じ目標」で働く者同士の結束力の醸成に成功しました。

このようにちょっとした工夫をすることで、チームの成績や会社全体の業績を好転させる「最高の宴会」を行なうことができるのです。

良い宴は良い縁をつなぐ。最終回は「最高の宴会」についてでした。それは決して特別なものではありません。みなさんの宴会も必ず「最高の宴会」にできます。ぜひトライしてみてください。

今夜も世の中に最高の宴会が生まれますように。ありがとうございました!

一級宴築士のカワちゃんでした。

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