人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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藤井のルーツ

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2017/07/03 11:57

(画像は日本将棋連盟・棋士データベースのサイトよりキャプチャ)

昨年12月のデビュー以来、破竹の勝利を続けてきた藤井聡太四段が、2日に行われた竜王戦決勝トーナメント2回戦で若手の佐々木勇気五段に敗れ、連勝が29でストップした。

とはいえ、29連勝は史上最多記録、しかもデビューから無敗は空前の大記録である。藤井四段は愛知県瀬戸市の出身。愛知県には「藤井」という名字はそれほど多くない。「藤」のつく名字は藤原氏系といわれることが多いが、それは下に「藤」がついて「~とう」「~どう」と読む場合。上に「藤」のつく名字は、藤原氏系ではなく植物のフジに因むことが多い。

現在、「フジ」は藤棚で育てられていることが多いが、これは明治以降に鑑賞用に品種改良されたもの。本来のフジは山に自生するツル植物で、木に巻き付いて花を咲かせた。古くはクズなどツル植物全般を「フジ」といったらしく、大和の古代豪族葛井氏は「ふじい」と読んだとされる。

フジは西日本に広く分布していることから、「藤」のつく名字も西日本に多い。とくに「藤井」は山陽地方から大阪にかけての地域に激しく集中しており、広島県で名字ランキング3位となっているのを筆頭に、山口県4位、岡山県6位と上位に入っている。

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