人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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新幹線に行ってみた

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2017/02/20 10:45

「新幹線」という町(著者撮影、一部加工)

静岡県に「新幹線」という地名がある。地名マニアや鉄道ファンの間では有名だが、一般にはあまり知られていないその場所に行ってみた。住所でいうと、静岡県田方郡函南町上沢(かみさわ)字新幹線。小字だが、ネット上の地図や国土地理院の地形図にも記載されている。

さて、ここには東海道線でも行けるのだが、せっかくなので新幹線で三島駅に。伊豆箱根鉄道に乗り換え、4つ目の大場駅で降りる。駅の西側に出て線路を渡り、三島南高の前を通って北西に2キロほどいったところが「新幹線」だ。

周辺は農村地帯だったが、新幹線の付近は比較的新しい住宅地だった。道に面して大きく新幹線地区の案内図が建てられている。ただし、近くの電信柱に貼られていた住所表示には「上沢」としか書かれていない。

hakonan

新幹線地区の北には東海道新幹線が通っている。従って、この工事をするために開かれた地域と思いがちだが、実はもっと古く、戦争中の昭和16年のこと。当時、新幹線の原型といわれる弾丸列車が計画され、その際の工事関係者の宿舎のあった場所に由来する。

面白いのは、近くのバス停は、「新幹線」ではなく「幹線下(しも)」と「幹線上(かみ)」。なぜ「新」の字がないのかはよくわからないが、ともかく幹線下からバスに乗り、函南駅に向かって帰途についた。

kansensimo

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