人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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ピース・綾部の由来

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2015/07/27 16:58

京都由来と思いきや…?(写真は京都府綾部市にある岩王寺)

芥川賞作家となった相方、又吉直樹との格差を逆手にとって活躍中の芸人、ピース・綾部祐二。「綾部」と聞くと、京都府の綾部市を連想する人も多いと思うが、実は京都には「綾部」という名字は少ない。

「綾部」が集中しているのは、九州北部と関東南部の2ヶ所である。九州北部では、佐賀県みやき町に古くから綾部地名があり、平安時代末期に中央から綾部荘の荘官として派遣された藤原氏の一族が、そのまま土着して綾部氏を名乗った。

以後、戦国時代まで同地の有力一族として活躍、江戸時代に嫡流は佐賀藩士となったことから、現在でも佐賀県を中心に九州北部には「綾部」という名字が多い。

一方、関東では東京都町田市に綾部地名があり、神奈川県秦野市に「綾部」が集中している。また、江戸時代川越には、川越藩御用達として塩や油などを扱っていた豪商の綾部家があるなど、各地に綾部一族がいたとみられる。

綾部祐二は茨城県古河市の旧総和町の出身。実は旧総和町小堤の香取八幡社境内にある、江戸時代中期に建てられた石灯籠に「綾部助右衛門」という名が刻まれており、同地には古くから綾部一族がいたことがわかる。

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