この1冊ですべてわかる 物流とロジスティクスの基本
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発売日 | 2009.01.21 |
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著者 | 湯浅和夫 |
判型 | A5判/並製 |
ページ数 | 200 |
ISBN | 978-4-534-04497-6 |
価格 | ¥1,650(税込) |
欠品や機会損失を防ぎ、最適な在庫を実現するための1冊。物流面からアプローチして、バリューチェーンの作り方をやさしく説明します。生産、仕入、在庫管理の基本も体系立てて理解することができ、物流企業やメーカー関係者は必読です。
≪章立て≫
第1章 ロジスティクスは企業の新たな利潤源
第2章 出荷動向に同期化した生産活動の実現
第3章 ムダな在庫を抑制する仕入活動への転換
第4章 在庫と顧客納品の両面で密接に関係する営業活動
第5章 物流はロジスティクスを構成する1つの活動
第6章 在庫管理がロジスティクスの運用を可能にする
第7章 物流ABCによる“見える化”で物流を抜本的に変革する
第8章 企業間の連携を実現するSCM
第9章 環境負荷を軽減するグリーン物流
第10章 3PLをめざす物流業界
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詳細
第1章 ロジスティクスは企業の新たな利潤源
1-1 ロジスティクスは企業経営の成否に直結する 12
顧客納品にかかわるすべての業務に責任を負う
1-2 前線を支える軍需品の供給活動で、かつては兵站と呼ばれた 13
ロジスティクスは、もともと物資の調達から保管、補給までを担う軍事業務だった
1-3 JIT方式を採用し、革新を続ける軍事面のロジスティクス 14
軍事面のロジスティクスでも効率性が重視される
1-4 企業におけるロジスティクスの位置づけ 16
商品を調達し、在庫として保管しておき、注文に応じて顧客に届ける
1-5 ロジスティック部門がないと、ムダがわからない 18
営業部門も物流部門も「使われなかったムダ」に関心がなかった
1-6 欠品はダメだが、余剰在庫は許される──営業活動が生む隠れたムダ 20
売り損じを避けるために、たくさんの在庫を抱える
1-7 市場動向と無縁の生産活動がムダな在庫を生み出す 22
出荷動向がわからないために、大ロットの生産が行なわれる
1-8 欠品は出さない、仕入価格は下げたい──仕入部門がムダを生む 23
仕入部門が安心するために支払われるツケはあまりにも大きい
1-9 市場動向と無縁の営業、生産、仕入部門の在庫手配が不良資産を生む 24
管理がゆき届いていないことが原因のため、欠品と不良在庫が同居する
1-10 ロジスティクスがないためにムダな物流コストが生まれる 26
在庫によって作業効率が悪化し、余分な作業費用がかかっている
1-11 物流センターを見れば、在庫管理がゆき届いているかがわかる 28
在庫の数値から“見える化”すれば、ムダがハッキリわかる
1-12 ロジスティクス部門が在庫に責任を持ち、供給のすべてを仕切る 30
企業における“あるべき”ロジスティクスの姿をイメージする
1-13 ロジスティクスの視点で物流の現状を見直す 34
既存の生産や仕入、営業との調整など改善すべき課題は多い
第2章 出荷動向に同期化した生産活動の実現
2-1 市場動向に合わせて生産や仕入、物流が連動する仕組みを作る 38
出荷情報を把握し、それをベースに商品を調達する
2-2 生産部門と「適正在庫の維持」について共同歩調をとるべき 39
生産に必要な情報はロジスティクス部門が提供する
2-3 生産部門との新たな役割分担を模索する 40
ロジスティクスの情報を基に生産をする
2-4 製造原価を低減すれば粗利が大きくなる 42
生産効率が上がっても、売れ残りは問題
2-5 大量生産方式から市場に同期化させた生産方式への転換 43
市場の不透明化からロジスティクスが求められるようになった
2-6 情報を提供して、「補充の連鎖」を作る 44
柔軟な生産方式を確立して市場動向に対応する
2-7 ロジスティクス部門と生産部門との関係 46
情報提供にとどめるか、生産計画機能を取り込むかが論点になる
2-8 パレットやトラックに合わせて包装設計を行なう 48
製品設計の段階からロジスティクス部門が関与してムダをなくす
2-9 市場の需要に応じて生産してもらえるよう、生産部門に働きかける 49
生産との関係作りがロジスティクスの成否を左右する
第3章 ムダな在庫を抑制する仕入活動への転換
3-1 仕入活動では販売のために事前に在庫を準備する 52
本来は在庫の責任を負う重要な仕事なのに、ないがしろにされている
3-2 発注における課題は在庫責任の明確化 54
個人任せではなく、全社統一したシステムが望ましい
3-3 本来、仕入活動は市場動向との同期化がとりやすい 56
ルールを作れば、必要なときに必要なだけ仕入れられる
3-4 リベート、返品制度が適正在庫維持を妨げる 58
日本的商慣行の制約が大きく、ロジスティクスの実現はむずかしい
3-5 仕入ロットや仕入価格などの見直しが不可欠 59
メーカーとの取引条件が在庫を増加させることがある
3-6 仕入リードタイムの短縮がロジスティクスの課題 60
長すぎると予測が必要になったり、突然の出荷に対応できない
3-7 ロジスティクス部門を作り、発注と物流を一元管理する 62
誰にもムダが見えていない状況を改善することが重要となる
第4章 在庫と顧客納品の両面で密接に関係する営業活動
4-1 ロジスティクスは営業活動とどうかかわるのか? 64
営業部門との関係作りがロジスティクスの成否を左右する
4-2 在庫について免責事項を明らかにする 65
在庫手配を営業部門からロジスティクス部門に移すために必要
4-3 在庫について営業部門との役割分担を明らかにする 66
営業は情報を提供し、ロジスティクスが在庫を手配する
4-4 物流サービスはどんなものか? 67
顧客納品にあたって定められている取引条件
4-5 今日的な物流サービスの特徴 68
短納期化、多頻度化などが進んでいる
4-6 営業部門にも物流部門にも物流サービスのコストが見えていない 70
管理のエアポケットが企業に多大な損失を与える
4-7 物流サービスを“見える化”することが不可欠 71
コストを顧客別に把握することで、どこが問題なのかがわかる
4-8 「責任のないところに管理はない」状態から脱出する 72
ロジスティクスと営業活動との望ましい関係を構築する
4-9 押し込み販売などのデータがあるとロジスティクスを実現できない 73
売り方の見直しもロジスティクスの課題といえる
第5章 物流はロジスティクスを構成する1つの活動
5-1 物流部門が置かれている現状 76
「届けるだけの仕事」という認識が多大な損失をもたらしている
5-2 物流サービスが物流活動に及ぼす影響 78
納期の長さが物流拠点の数を決め、コストが決まる
5-3 在庫はさまざまな形で物流コストを増加させる 82
大量の在庫は保管費用だけではなく、作業効率の悪化も招く
5-4 輸送や配送の問題点は何か? 84
物流部門がコントロールできないコストが発生している
5-5 物流部門の仕事は物流技術管理が中心 86
大規模物流拠点の設置が新たな仕事を生み出した
5-6 なぜ物流部門は物流管理を行なってこなかったのか? 88
「やりたくてもできなかった」というのが実態
5-7 ロジスティクスをトップに進言する 90
ロジスティクスは物流にかかわる問題をすべて解決する
5-8 在庫管理と物流ABCで物流を変える 92
他部門の制約により発生していた物流のムダはすべて排除される
5-9 企業にロジスティクス部門が登場しはじめている 95
ロジスティクス部門ができたら、まず在庫分析からはじめる
第6章 在庫管理がロジスティクスの運用を可能にする
6-1 ロジスティクス部門が在庫責任を負う 98
顧客納品のための在庫を維持し、確実に納品する
6-2 物流拠点在庫がロジスティクスの根幹をなす 99
市場動向に合わせた在庫維持を実現するのが在庫管理
6-3 在庫の性格と課題 100
市場の不透明化と多品種化によって最適な在庫が求められる
6-4 在庫を必要最小限にすれば、ROAはよくなる 102
ロジスティクスは資産の圧縮、利益増に貢献する
6-5 「財務会計」的な在庫管理と“これからの”在庫管理 104
棚卸資産管理や在庫の現物管理とは違う取組みを理解する
6-6 ロジスティクスの成否は何が握るのか? 105
物流拠点在庫を適正に維持することにより可能になる
6-7 発注方式はタイミングと量で決まる 106
在庫管理技法のメリット・デメリットを知る
6-8 本来的には「不定期不定量」が望ましい 108
「定期不定量方式」は、多めの発注や急な欠品という問題を抱えている
6-9 在庫は「日数」で見ないと管理できない 110
「どれくらいの在庫を持つか」という管理の枠を決める
6-10 定期発注方式と不定期発注方式の基本的な違いを知る 112
在庫日数によって、出荷変動への対応力に差が出る
6-11 発注量の計算方法 116
基本的な考え方をふまえて柔軟に対応する
6-12 「適正な在庫維持」を実現する 118
出荷データの把握がロジスティクス実現の出発点となる
第7章 物流ABCによる“見える化”で物流を抜本的に変革する
7-1 物流の仕組みを見直し、ローコストの物流を作る 122
ロジスティクスと“見える化”で物流の制約を外すことができる
7-2 在庫手配と物流サービスが物流コスト削減を妨げる 123
ローコストを実現するには“見える化”が効果的
7-3 “見える化”をベースにした物流管理 124
数字で実態を明らかにすれば、「何をすればいいか」が見えてくる
7-4 物流ABCが物流コスト削減に役立つ 125
コスト発生の因果関係が明らかになる
7-5 物流ABCは物流サービスをすべて数値化する 126
顧客別の採算や物流作業の問題把握、物流コスト責任の明示が可能になる
7-6 アクティビティ単価を使って管理する物流ABCを用いた原価計算 128
アクティビティという単位を使うことで、あらゆる業務を管理できる
7-7 物流ABCの基本構造を知る 130
アクティビティごとの処理量を見れば、コスト高の原因がわかる
7-8 物流サービスの採算を“見える化”する 132
経営上、到底許容できないサービスの存在がわかる
7-9 2つの指標で顧客を4つに区分する 134
物流サービスだけではなく、顧客の問題が見えてくる
7-10 物流部門は「単価」に責任を負う 135
責任区分ができなければ物流コスト削減などできない
7-11 単価ではなく、時間を使えば拠点内作業にも有効に機能する 136
理不尽な要求によるムダをなくし、拠点内作業も見直すことができる
7-12 どうすれば作業時間のムダを見つけられるのか? 137
作業を定義すれば、定義から外れた作業はすべてムダといえる
7-13 標準時間計測でムダな作業を“見える化”する 138
ムダな動きが半分以上ある作業もめずらしくない
7-14 適正作業人員を事前に計画する 140
アクティビティにより予測された作業量から算定できる
7-15 チームごとの日別に作業人員を計画する 142
週別、曜日別の作業量を導ければ、あとはチームで処理するだけ
7-16 エアポケットをなくすことで、どんどん利益を上げられる 143
ロジスティクスに不可侵の領域はない
第8章 企業間の連携を実現するSCM
8-1 ロジスティクスとSCMとの関係 146
サプライチェーンは商品供給に不可欠な企業連鎖
8-2 SCMのめざすもの 148
サプライチェーンを構成する企業間を連携させる
8-3 これまでのサプライチェーンが持つ問題点 150
実際の需要より常に多い発注がされてきた
8-4 SCMとロジスティクスとは同じ概念 152
サプライチェーンは、市場との同期化が最重要な役割を持つ
8-5 情報共有は受発注を否定する考え方 154
受発注をやめ、効果的な供給活動を行なう
8-6 SCMはこれまでの物流を一変させる 156
最低コストの供給活動が実現できる
8-7 なぜSCMが進展しないのか? 158
従来の商取引の常識を否定するため困難も多い
8-8 情報共有で成功したSCMの取組み事例 160
情報共有を基にロジスティクスを展開できる能力が問われる
8-9 SCMはサプライチェーンにおける役割分担を再構築する 162
優れた能力がない企業はチェーンからはじき出される
8-10 SCMは大企業だけのものではない 164
中小卸と小売業との連携はすでにはじまっている
8-11 SCMは「取引者同士の話合い」からはじまる 167
SCMでお互いにメリットを享受し合う仕組みを作る
第9章 環境負荷を軽減するグリーン物流
9-1 「グリーン物流」が新たな義務となった 170
環境対応はロジスティクスに関係するすべての企業の課題
9-2 環境対策が法律で義務づけられている 172
荷主と物流業者ともに、もう“待ったなし”の状況
9-3 グリーン物流パートナーシップ会議を活用する 173
荷主企業と物流業者が手を組んだ取組みに補助金を交付
9-4 環境負荷を軽減するための方策とは? 175
基本的にトラック輸送を中心とした対策となる
9-5 CO2削減対策・ トラック単体での環境への取組み 176
グリーン経営認証制度やエコドライブで環境にやさしくできる
9-6 CO2削減対策・ トラック台数を減らす取組み 178
同じ輸送量をより少ないトラックで運ぶことで、環境対策ができる
9-7 CO2削減対策・ トラック輸送そのものをやめる取組み 180
モーダルシフトによるメリットは大きい
9-8 CO2削減対策・ トラック輸送量を減らす取組み 182
「必要のない輸送をしない」のが本来の物流の姿
第10章 3PLをめざす物流業界
10-1 物流とロジスティクスにかかわる業者 186
物流業界はさまざまな事業分野からなる
10-2 “3PL”は荷主企業と物流事業者との新しい関係 188
荷主以外の事業者が荷主の物流業務を代行
10-3 アウトソーシングが3PLにつながる 190
コア業務以外の業務をアウトソースする考えから、3PLは誕生した
10-4 3PL事業者がロジスティクスを強力に支援する 192
3PLが出荷動向の把握から輸配送手段の選択までを主導する
10-5 3PLの導入が進まない理由 194
荷主企業の経営を変えるほどの提案をするべき
10-6 3PLを志向する事業者に期待 196
いまだに実体はないが、将来的には期待できる
著者プロフィール
湯浅和夫
1946年生まれ。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了後、(株)日通総合研究所に入社し、常務取締役を務めたあとに退職。2004年に在庫管理・物流のコンサルティング企業である(株)湯浅コンサルティングを設立する。著書は『手にとるようにIT物流がわかる本』(かんき出版)、『これからの物流がわかる本』『在庫管理ハンドブック』(ともにPHP研究所)など。