このブログでは、書籍『わかりやすい 減価償却の実務処理と節税ポイント』と連動して、その後の法律改正・通達の内容や、減価償却に関するトピックスを解説していきます。
(※いままでの『わかりやすい 役員給与の実務処理と節税ポイント』ブログは、カテゴリの「役員給与」の部分にまとめて掲載しています)

※本ブログは2011年12月をもって更新を終了しております。
 
 
  
平成24年度税制改正大綱

2011/12/22 11:15
平成23年もいよいよ終わりです。そんな頃に毎年恒例の平成24年度税制改正大綱が閣議決定されました。

その中で、減価償却に関連する項目をピックアップしてみます。

<平成24年度税制改正大綱>
・環境関連投資促進税制:太陽光発電設備・風力発電設備のうち一定のものについて、普通償却+特別償却で全額を償却することができることとされた。

・中小企業投資促進税制:製品の品質管理の向上に資する試験機器等が対象に追加となり、デジタル複合機の範囲の見直しが行われ、適用期限が2年延長となった。

・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長(法人税、所得税)

・その他租税特別措置の改正


この今回の平成24年度税制改正大綱が決まる前の23年12月2日。平成23年度税制改正について先送りとされていたものの一部が施行されました。

この中で、減価償却に関する重要なものは、2011/7/27にこの減価償却ブログ
http://www.njg.co.jp/blog_yakuin.html?itemid=2248
の一番下で「今回の改正では成立せず、先送りされることとなりました。」
という内容が成立したということです。

内容としては、定率法の償却率が下がるということです。
現在の定率法の償却率は
定額法の償却率×2.5(250%定率法といいます。)
が採用されています。

これが、平成24年4月1日以後に取得したものから、
定額法の償却率×2(200%定率法といいます。)
が採用されています。

ただ、現在の進行期で、平成24年4月1日以後に終了する事業年度については、そのままの償却率で計算することができるという経過措置が設けられています。ですので、償却率が変更になるのは来期からということになります。

以上、今回の改正情報をまとめてみました。今後これらの中身について詳細が明らかになっていくでしょうから、財務省や国税庁などからの発表を注意深く見守っていきましょう。

役員給与ブログに始まって、減価償却ブログまで、今回で通算68回目。長かったようで、あっという間の約5年でした。今回でいったんブログの更新は終了となります。

今までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。日本実業出版社のスタッフの皆様にも、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
(税理士 望月重樹)

  
減価償却の意義

2011/12/02 09:18
 来月の今頃には、平成24年度税制改正大綱が発表されて、減価償却に関する改正情報が入ってくるかなと思いつつ…。

今回は、改正情報が入ってきていませんので、私の書きたかったネタ「減価償却の意義」について書いてみたいと思います。

減価償却って、例えば、500万円で買った機械(耐用年数5年、定額法)について、1年に100万円ずつ減価償却費として経費化していくということですよね。

『経費化していく』ということは、経費として落としていくことを意味するのですけど、もっと重要な意味は、
『掛けた減価償却費の分だけ、お金を回収していく』
ということだと思います。

1年で100万円の減価償却費を計上して、売上が3千万になり、利益が300万円残りました…という場合。

この機械に掛けた500万円のうち、100万円分は、売上代金から回収したんだぞと解釈するという意味です。

ですので、赤字続きであったり、減価償却費を正規の金額までは計上できなかったりする場合には、その機械に掛けたお金は回収してないんだ〜と思わないとダメということになります。

例えば、減価償却費を10万円しか計上することができない状態で『利益=0』という場合、機械に掛けたお金のうち10万円しか今年は回収することができなかったということです。

これって、ちょっと考えれば当たり前のことなのですが、日々経理に没頭していたり、経営に夢中になると、頭の中から消えていることなのではないでしょうか。

男性は特に物に投資したい傾向が強いというのが私の印象です。

投資しても構いません。本人が責任を負えば。
そして、1年でその掛けた設備投資を回収するなんてことは、通常不可能です。

だからこそ、減価償却という方法にしたがって、耐用年数と呼ばれる年数を掛けて、1年ずつ掛けたお金を回収していくという意識が大事なのではないでしょうか。

『設備に1,000万円投資したいなら、○年掛けて1,000万円以上のお金を回収できるんですか?』ということを自問自答してみましょう。

回収できる自信ができて初めて、設備投資にGOサインを出しましょう。

さて、次回は年末ですね。
早いものです〜いろんな意味で。

  
減価償却資産の売却

2011/10/31 16:17
 『先月、自分の車売っちゃったよ。』という話を先週立て続けに聞きました。どちらも国産車ではそれなりのグレードの車。売却したくしたわけではありません。厳しいですね、やっぱり。

法人が所有する車を売却した場合にその売却益にかかるのが、法人税、それから、消費税です。

法人の場合には、売却益は固定資産売却益という科目で、決算書上特別利益に入ります。同様に、売却損は、固定資産売却損という科目で特別損失に入ります。

そして、この売却益(売却損)は、
譲渡対価―帳簿価額
から求めます。

帳簿価額は、
取得原価ー減価償却費として計上してきた金額の累計
から求めます。

この『減価償却費として計上してきた金額の累計』というのは、いったいいつまでなのかというと、事業用に使ってきた日の属する月までということになります。

例えば、10月15日まで使ってきて、10月中に売却する場合は、10月分まで償却して計算します。その月に1日でも使用していれば、その月分まで償却します。

この売却益や売却損は、その他の利益と合算されます。ですので、売却益だからと言って、通常の利益と税金の掛かり方は全く変わらないことになります。

では、個人事業主の場合はどうでしょう。

個人事業主は、上で求めた売却益は、譲渡所得の総合課税という区分で計算されます。
そして、これは、所有期間が5年を超えるか否かによって、総合長期と総合短期に区分され、譲渡所得に対する税金が計算されることになります。

つまり、通常の事業所得の中には含まれません。青色申告決算書や、白色の場合の収支内訳書の中から除きます。

そして、所得税確定申告書の譲渡所得(総合課税)の方に含めて、課税されるかが検討されますので、ご注意ください。

  
内部造作の減価償却

2011/10/03 11:12
 『企業の設備投資も冷え込んで…』というニュースを聞く昨今ですが、設備投資の話が舞い込んできます。「新しい事務所に移転する」だとか、「新しい機械を買う」だとか、それから、「新しく店舗を出店する」とか…。

 今回は、新しい店舗を出店するお話です。

 飲食業などに多い『居抜き』。賃貸でビルの一室、あるいは、建物を借りて、そこに修繕や増築などを施し、新しい店舗としてオープンすることが多いです。

 そんなとき、自己所有の建物でなく、他人所有の建物について、修繕などを行うことについてかかった金額はどのように処理されるのでしょうか。
修繕費として、落ちるのでしょうか。

結論を言うと、20万円未満の一括償却資産、それから、30万円未満の少額減価償却資産の対象となるものを除いて、資産計上となるということです。造作に要した金額を取得価額として、“建物”か、“建物附属設備”として処理されます。

自分の所有する建物がないのに、決算書上“建物”と表現されることに対して、何か違和感を覚える方も多いでしょうが、このような取り扱いとなります。

建物附属設備に該当するような工事は建物附属設備として処理されますが、建物本体に施された工事、例えば、内装を変えたとか、クロスを張り替えたとか、扉をなくしたなどといった工事は、建物として処理されます。

償却方法についても、建物に該当すれば定額法、建物附属設備については、自社の届け出た償却方法を採用することになります。なお、今回賃借した建物が平成19年3月以前に建築されたものであっても、今回の造作が平成19年4月以降である場合には、償却方法には、“旧”の文字は付きません。

つまり、“旧定額法”や“旧定率法”でなく、“定額法”や“定率法”を採用することになります。

今の時代の設備投資、するなら、きちんとその分の資金を回収することを意識しましょう。投下資本の回収余剰があくまで“利益”ですから。

  
環境関連投資促進税制(平成23年度税制改正)

2011/08/31 09:31
 平成23年8月30日、第95代内閣総理大臣に野田佳彦氏が指名されました。
 今後の野田総理大臣がどのように税制の舵を切っていくのか、期待半分・不安半分といったところでしょうか。

さて、今回は、平成23年度税制改正の中から、「環境関連投資促進税制」の紹介です。
これは、新たに創設された制度です。

これは、青色申告法人が、平成23年6月30日から平成26年3月31日までの間に、一定の設備の取得等をして、1年以内に事業の用に供した場合に、取得価額の30%の特別償却を適用することができる制度です。

なお、中小企業者等については、特別償却に代えて、7%の税額控除も選択できます。
(ただし、法人税額の20%を限度)

ここで、一定の設備等とは…「エネルギー環境負荷低減推進設備等」です。
これは、おおきく分けて2種類。

1.エネルギーの有効な利用の促進に著しく資する機械その他の減価償却資産
新エネルギー利用設備等…太陽光発電設備、風力発電設備、水熱利用設備、雪氷熱利用設備、バイオマス利用装置
二酸化炭素排出抑制設備等…熱供給型動力発生装置、ハイブリッド自動車、電気自動車など

2.建築物に係るエネルギーの使用の合理化に資する設備
この2については、下のものすべてを同時に設置することが必要とされています。
エネルギー使用合理化設備…高断熱窓設備、高効率空気調和設備、高効率機械換気設備、証明設備
エネルギー使用制御設備…測定装置、中継装置、アクチュエーター、可変風量制御装置、インバーター、電子計算機


平成23年度税制改正で成立した貴重な税制です。
関心高まる環境・エネルギー分野ですので、かなり利用される税制になるのではないかなと思います。

 
 
望月 重樹
(もちづき しげき)


昭和45年静岡県生まれ。静岡県立静岡高校から大阪大学基礎工学部、同大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。株式会社大和銀行を経て望月経営会計事務所入所。平成14年税理士試験合格。税理士、ITコーディネータ、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。その場しのぎでツケを先送りする会計処理でなく、経営者とともに、企業をより高いレベルへと導くことをモットーとする。税務だけでなく、経営計画の立案も主要業務とし、未来を見据えた経営サポートを通じて、経営者の真の相談相手となることに日々情熱を傾ける新進気鋭の税理士。


●税理士法人羅針盤ホームページ
http://www.m-mao.jp/
●望月重樹ブログ公開中


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